つながり 〜塩田千春 展〜

旅とアート

ここ数日、ちょっと秋っぽくなってきましたね。
先日、大阪の中之島美術館ではじまった展覧会「塩田千春 つながる私」に行ってきました。
(会期は12月1日まで)

中之島美術館で開催中の塩田千春つながる私の赤い糸が吊るされたエントランスの風景

生と死、存在、記憶などをテーマにしていて、
今回は「つながり」を通して表現されているそうです・・・

たくさんの糸(ロープ)を使って構成された空間が複数あり、その空間に包まれると、色々な面白い感覚を感じる事ができました。

会場内にあるスクリーンでは
現在の表現方法に至るまでの過程や考え方、今回の作品の説明などの映像が流れています。
映像を見てから再度作品を見ると、また違った見え方になったり、より深く内容が伝わってくる気がしてより一層楽しめます。

中之島美術館で開催中の塩田千春つながる私の蜘蛛の巣のような白の空間
中之島美術館で開催中の塩田千春つながる私の蜘蛛の巣のように張り巡らされた白い糸と黒い壁の境界ライン

今回、映像の中で気になったフレーズがありました。

「夢とのつながり」
夢で見たものが現実になり、夢と現実がつながる瞬間を感じた・・・


子供の頃、私は風邪を引いた時、必ず同じ内容の夢を、同じタイミングで見ました。
「夢の中で、寝ている部屋の天井を眺めていると、小さな丸いしみのようなものが出てきて、どんどん増殖しながら、天井を埋め尽くしていく。。。」
その夢で目が覚めると、たくさんの汗をかいていて、風邪が治っていました。
夢の中では怖さやパニックが大半なのですが、これを見ると風邪が治るという安心感もあり、少し不思議な感覚がありました。

「夢が現実になる」というより「夢の中で現実とつながる」という感じ。
今回、そういった私の古い記憶とつながりました。

となりの部屋から漏れる「光の色」
ふり返った時に見える「景色のコントラスト」

中之島美術館で開催中の塩田千春つながる私の隣の部屋から漏れる赤い光の色
中之島美術館で開催中の塩田千春つながる私の赤い糸で編み込まれた様々な形の展示物
中之島美術館で開催中の塩田千春つながる私の複雑に編み込まれた赤い糸

これらを探すのも、私の美術館の楽しみの一つになっています。

次の部屋から漏れてくる期待感。
振り返った時に見える、過去という記憶。
これらに出会った時、ひとり、嬉しさにふけています。

世の中には、たくさんのアートがあります。
綺麗なものや素敵なもの、格好いいもの、よく分からないもの、、、

私が好きなものは「重み、深さ、強さ」を感じるものです。

時代や考え方の変化とともに表現は変わったとしても、個人の持っているコンセプトやテーマをずっと貫いている、そして重ねるごとにより洗練されていく。
そういったものが、深さや重みとなって感じるような気がします。


見たこと、感じたこと、考えたこと、それらが自分の表現の一部につながっていく。
そんなたくさんのつながりを感じた展覧会でした。